日本化粧医療学会 第2回学術総会で発表 ~AI 顔分析による客観的評価、見た目の若返りがよろこびに直結~
- リリース 2021.02.08
一般社団法人日本介護美容セラピスト協会(代表理事:谷都美子/大阪市福島区)は、2月6日にオンラインで開催された、「日本化粧医療学会 第2回学術総会」にて、「認知症患者に対する化粧美容セラピーの認知・情動機能改善効果」を発表。
従来、メーキャップなどの美容は、非薬物療法の一つとして、認知機能や感情機能、ADL(日常生活の動作)機能に有効であると考えられてきましたが、医学的なエビデンスは不十分でした。
今回、AIによる客観的な顔診断により、即時に認知症高齢者の喜びの感情が増加することがわかりました。
尚、この研究は、岡山大学・かんでんジョイライフ・日本介護美容セラピスト協会の共同発表です。
■評価方法
1、化粧美容セラピー群と対象群の2群にわけて検証。
2、脳神経内科医による認知機能や、感情機能、ADLの問診。
3、ビューティタッチセラピスト※1による化粧美容セラピー実施。
4、AIカメラで施術前後を撮影し、画像解析。
5、施術数日後の感情変化の聞き取り調査。
対象者:認知症高齢者 化粧美容セラピー群/スキンケア+メーク実施 19名(89.5±4.4歳)
対象群/スキンケアのみ 17名(90±4.1歳)
(実施日:2020年9月~11月)
※1日本介護美容セラピスト協会の認定を受けた、介護・美容に関わる知識やスキンケア・マッサージ・メーク等の専門技術を習得した者
■結果
1.化粧美容セラピー群では、認知症周辺症状の指標である阿部式 BPSD※2スコア(ABS※3)が有意に改善されており、即時的な感情改善効果が示された。
2.AI顔解析では化粧美容セラピー群で、見た目年齢が1.9歳有意な減少
を示した。
3.AI顔解析の感情評価では、化粧美容セラピー群で、「喜び」の感情スコアが有意に向上した。
4.化粧美容セラピーに対する満足度78.9%。
結論として、認知症高齢者には、見た目の良さが心理的健康に重要であり(Kligman and Graham, 1986)、よりキレイになったと感じることがBPSD※2の緩和にも関係していると考えられます。また、AI顔分析は、顔の感情を迅速か つ定量的に分析できるので、言語の問題に関係なく評価できます。
※2 認知症の中核症状である認知機能低下の影響で、本人が混乱したり落ち込んだりした結果として起こる周辺症状のこと。
※3 現代日本に適した新しいBPSDスコアのこと 阿部式BPSDスコア(Abe’s BPSD Score = ABS)
■今後の展望
超高齢化社会を迎えた日本において加齢に伴い増加する認知症に対する取り組みは、学術的かつ社会的課題です。認知症高齢者の生活の質を向上させることや、介護者のモチベーションに繋がる取り組みは、より必要性を増すと考えます。
メーキャップが認知症高齢者の喜びの感情を沸き起こすことが確認できたことは、継続的なメーキャップが認知症の進行を遅らせる可能性を示唆し、QOLの改善に繋がるものと考えられます。
今後は、施術を繰り返し長期的な効果について検証を進め、化粧美容セラピーとしての客観的評価の更なる確立に取り組みます。